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HISA DENTALCLINIC
DIRECTOR’s BLOG

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舌癌

歯科に関して

私のクリニックから水戸医療センターへ紹介した患者様の舌癌の手術が昨日行われました。
そこで、今日は口にできる癌のうち最も多い舌癌について整理します。
舌がんは男性に多く、50~70歳代に多く発生しますが、最近は20歳代の若い人にも発生しています。
好発部位は舌の側縁から下面で、とくに臼歯部に相当する側縁部に多く発症します。
組織学的にはその大多数が扁平上皮です。
原因は不明ですが、他の口腔がんと同様に喫煙、飲酒、義歯やむし歯による持続的な慢性刺激や損傷が誘因と考えられています。
病変の表面には膨隆、びらん、潰瘍を認めることが多いのですが、白板、肉芽、乳頭状を示すものもあります。
乳頭型、肉芽型および白板型のがんは外向性に発育し、粘膜表層を広範囲に進展しますが、深部への浸潤は比較的少ない傾向があります。
潰瘍型や膨隆型は内向性に発育し、深部組織に深く浸潤して嚥下障害や構音障害を来します。
顎下リンパ節や上内頸静脈リンパ節などの頸部リンパ節への転移頻度は30~40%と口腔がんのなかでは高く、舌がんの治療後にもリンパ節転移(後発転移)が出現することがあります。
他の口腔がんでは病変と同じ側の頸部リンパ節に転移することが多いのですが、舌がんでは両側に転移することもあります。
診断には生検を行い、組織学的に確定します。癌と確定した場合には、さらにCT、MRI、超音波、PETなどの画像診断を行い、進行度(病期)を決定します。
治療の主体は、手術か放射線治療になります。両者はほぼ同等の治療成績をあげています。
初期がん(T1、T2症例)にはIr192、Au199による組織内照射を主体とした放射線治療を行います。
また、術後に機能障害を残さないで完治が期待できる早期がんには手術が選択されます(舌部分切除)。
初期がんでも頸部リンパ節に転移を認める場合には、頸部郭清術(リンパ節を清掃する手術)とともに舌病変部を周囲の健康な組織も含めて切除します(舌部分切除、舌半側切除)。