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HISA DENTALCLINIC
DIRECTOR’s BLOG

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非常に珍しい歯根嚢胞

歯科に関して

歯根嚢胞は、う蝕や慢性根尖性歯周炎に続発して発症する顎骨内の嚢胞で、歯原性嚢胞の一種であり、炎症性嚢胞の一種でもあります。
臨床的な所見としては、各年齢層に生じ、根管処置を終えた永久歯の失活歯などに生じると言われています。
顎骨内の嚢胞としての発生頻度はいちばん高く、下顎よりも上顎に多い傾向にあります。
山本1
山本2
症例は46歳の女性で、右上の延長ブリッジになっている第二小臼歯に違和感があるということで来院しました。
X線写真から根尖相当部にある不透過性のものが上顎洞のシュナイダー膜を押し上げ、勢いよく上方に向かって伸びている像を示していました。
私では対処できないので、水戸医療センター口腔外科に紹介いたしました。
山本3
その結果、歯根嚢胞であることがわかりました。過去に、このような症例は長崎大学の口腔外科での症例報告があるとのことでした。
局所麻酔下で歯根端切除術を行っていただきました。
術後の病理検査から嚢胞様物は、組織的には形質細胞や好中球を主体とした高度な炎症性細胞浸潤の見られる線維製性組織が採取されており、一部で線毛円柱上皮が認められました。特異的所見は明らかではありませんでした。
また採取された骨は筒状になった骨組織で、髄腔は軽度に線維性でありました。また、一部では形質細胞や好中球等の炎症性細胞浸潤も認められました。悪性所見は認められないということでした。
X線写真は手術後6か月後の写真で、歯根端切除術をした根尖はまだ透過像が認められますが、臨床的に問題となる所見はありませんでした。
山本4
さらに、4か月経過したX線写真ですが、根尖部の透過像が小さくなってきていることがわかります。