完成したインプラント上部構造(歯の部分)をインプラントやアバットメント(歯肉から出る部分)に固定するには、通常の歯の被せ物を固定する時のようにセメントを用いる場(セメントリテイン)とネジで固定する方法(スクリューリテイン)があります。
以前にもお話ししましたように、私はできる限りスクリューリテインで行ってきました。
それは、私がクラブ22に所属し、小宮山先生の教えを守って治療してきたからです。
セメントリテインはネジが外に出ないので、見た目も美しく、審美性の高い歯を作ることができます。
しかし、セメントリテインは何か問題があった場合に、インプラント上部構造を破壊しなくてはなりません。
仮留めセメントで留めるという方法もありますが、取れてほしくないときに取れてしまったり、逆に取りたいときに簡単に取れなかったりと、不便な点もあります。
特にインプラント上部構造が取れると、患者さんはインプラントまでダメになったのかとびっくりされる方がいらっしゃいます。
インプラントによる審美治療を追求しすぎたことが関係してか、セメント固定でのセメント取り残しによるインプラント周囲炎が問題になるようになりました。
つまり、インプラント上部構造の辺縁を歯肉縁下深い部位へ設定することで、セメントの除去が困難になりました。そして、最近セメントを使用しないスクリュー固定が注目されるようになりました。
しかしながら、スクリューリテインを行ったからといってインプラント周囲炎がゼロにはなりませんが、インプラント周囲炎の大きな原因の一つを取り除くことができます。
スクリューリテインは、患者様の経済的負担を軽減します。
すなわち、インプラントに問題があった場合に上部構造を壊さずに外せます。上部構造の再製作費がかかりません。
また、インプラントの本数が余裕を持って埋入されている場合で、後に隣在する自分の歯が抜歯に至った場合に、今装着されている上部構造にダミー部だけを蝋着して製作できるので、ダミー部の上部構造費しかかかりません。
スクリューリテインの一番の利点は、私の咬合調整の不備などでポーセーレンがチップした時だと思います。上部構造を外し、保存してあった以前のプロビを装着、その後数日で修理された上部構造を再装着できることです。
さらに、5年に一度は定期検査で上部構造を外してメインテナンスを行うように心がけています。
インプラントの歯の部分(上部構造)の固定方法
歯科臨床
- 2016年2月21日