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HISA DENTALCLINIC
DIRECTOR’s BLOG

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矯正治療を早く終わらせるには?

歯科臨床
矯正治療のスピードを上げるには大きく3つの要因があります。 患者様の細胞の活性、治療システムや技術など治療者側の要因、そして患者さんの協力度です。それでは、これらについてお話ししましょう。 ①患者様の細胞の活性 新陳代謝能力が高いと成人の矯正治療でも非常に動きが良くなるため、治療は平均治療期間より早く終わることがあります。 一般的には、矯正的歯牙移動を病理学的観点から見ると, 歯根膜, 歯槽骨の性状と細胞の活性(元気度)が歯の動きの良し悪しに大きく関与しているといえます. 細胞の活性は成人に比べて子供の方がずっと高いですから, 年齢が若いほど矯正力に対する歯槽骨の吸収形成がスム-ズに行われる, つまり歯はよりよく動くということが一般的にいえます。 私は、矯正治療の小臼歯抜歯を自ら行っています。というのは、自ら抜歯することで、患者様の動的治療期間を予測できるからです。つまり、簡単に抜ける人は歯の移動も早い傾向にあります。 また、抜歯した歯根の長さや形状の観察も患者様の動的治療期間を予測する上で重要です。 ②治療スピードを上げる治療システム 外科的なものにはコルチコトミーがあります。コルチコトミーは歯ぐきをメスで切り歯槽骨を露出させた後、皮質骨を歯科用の回転器具で削ったり穴を開ける方法で、側方拡大をする際に行うことがありました。 切った歯ぐきに血流が十分保たれないと、歯槽骨が痩せ、また歯ぐきが痩せ歯間乳頭が減りブラックトライアングルができるなどの審美的なリスクもあります。 また、矯正用ミニインプラントも併用されたりしますが、矯正用ミニインプラントはもともと治療が難しい再治療のケースやガミースマイル、咬み合せが傾いているなど従来の方法では外科手術以外に治療不可能だった症例に用いるもので、普通の患者様には使用していません。 一方、非侵襲的に速く動かす方法として、術者側でブラケットとワイヤーの摩擦を最小限する方法が考えられ、それぞれのテクニックで応用され、治療期間の短縮が図られています。 ③患者様の協力度 矯正治療は医療者側だけでなく、患者さんにも協力してもらわなければスムーズに進みません。 例えば口の中に使ってもらう矯正用ゴムを毎日使う、虫歯ができないように指導された方法で歯みがきする、装置が取れてしまわないように食べ物の堅さに注意するなど患者さんの自己管理能力が高いほど治療は早く順調に終わります。 これら3つの要因の中で、患者様の協力度が一番だと思っています。つまり、非抜歯では無理かなと思う症例でも患者様の協力度が高いと可能になるのです。 そして装置を外す処置自体はあっという間で、余剰接着剤の除去やクリーニング・スケーリングといった衛生処置をしてリテーナーやマウスピースと呼ばれる後戻り防止装置をつけて終わりです。 しかし、動的治療期間の短かった患者様は、装置を外した後の後戻り防止装置を確実に装着しないと容易に後戻りしやすいのも事実です。気を付けてください。