糖尿病とは、血液中の糖分をエネルギーに変えるインスリンの働きが低下する病気で、放っておくと脳卒中、心臓病や失明などの重篤な合併症を引き起こします。
近年、糖尿病と歯周病は影響しあってお互いを悪化させる「悪循環」の関係にあることがわかってきました。
糖尿病になると、唾液の量が減って、歯周病菌を洗い流す作用が弱くなり、菌の増殖しやすい環境になります。
その上、免疫細胞である白血球の機能が低下するので、歯周病が治りにくくなるのです。
一方では、歯周病が糖尿病を悪化させることもあります。歯周病が進行し、歯周ポケットに歯周病菌がたまってくると、白血球がそれを攻撃するために集まり、TNF-αという物質を放出します。
この物質は、血糖値をコントロールするインスリンをつくりにくくする働き(インスリン抵抗性)があり、一気に糖尿病が進行することがあります。
すなわち、慢性炎症としての歯周炎の存在により血糖値は上昇し、糖尿病のコントロールをますます困難にして、同時に歯周病もますます進行していく悪循環になります。
歯周病を合併した糖尿病の患者さんに歯周病の治療をしたら、糖尿病のコントロール状態を示すHbA1Cの改善がみられることが明らかになってきました。
その機序として、歯周病治療によって歯周炎に起因するTNF-αの産生が低下するため、インスリン抵抗性が改善し、血糖コントロールが改善すると考えられています。
ぜひ、月に一度は歯周病のメインテナンスにお越しください。下の図は、糖尿病と歯周病の悪循環(負のスパイラル)を示した図です。
糖尿病と歯周病の関係
歯科に関して
- 2015年4月15日