平成29年7月に福岡県の小児歯科を標榜している歯科医院において、抑制具を使用して局所麻酔後、ラバーダムを装着した状態で約1時間の歯科治療を受けた2歳の子供が2日後に亡くなった件で、今年1月15日頃からマスコミ各社で取り上げられ、報道されているということでした。
亡くなられたお子様に対して、哀悼の意を表します。
この中で、小児歯科専門医、小児に対するラバーダム防湿、身体拘束に対する考えについて話題になりましたのでお話しします。
小児歯科専門医(正式には日本小児歯科学会認定小児歯科専門医といいます)は、日本小児歯科学会が定めた基準をクリアーした会員を認定し、厚生労働省により広告することを正式に認められた呼称です。
一方、標榜の小児歯科とは医療法により定められた診療科名であり、極端なことをお話しすると、小児歯科にほとんど携わっていなくても、現在のところ標榜できるのです。
このことが少し問題であると考えています。
ラバーダム防湿法について、ラバーダムを使用した場合、治療中に薬液や切削片が口腔内へ侵入す るのを防ぎます。また術野への唾液や細菌の侵入を防ぐことによって、清潔な状態を保ち、治療精度を向上させることが可能となります。
さらに、治療用器具の吸引、誤嚥防止や術野の明示および器具の操作性向上による治療時間の短縮、切削器具などや薬液などからの軟組織の保護が期待できます。
このようなことから、小児の歯科臨床において、ラバーダム防湿法は安全で良質な医療を提供する ために必要不可欠な処置と考えられていますが、何パーセントの先生が行っているかは不明です。
身体拘束に対する考えは、医療や介護の現場で援助技術のひとつとして安全を確保する観点からやむを得ないものとして行われてきた経緯があります。
実際には、低年齢または何らかの障害等で身体拘束が歯科治療上の安全を確保するために必要であると認められたときに行われてきました。
私どものクリニックではレストレーナー(拘束ネット)は使っておりません。
それは、私が登院生の時に小児歯科を回った際に、拘束ネットで治療を受けている小児を見たときに、母親が動物じゃないのよ、人間なのと話していたのを聞いて考えさせられたことがありました。
従って、開業当初から暴れて治療ができない小児は拘束ネットを使用せず、スタッフならびに母親に押させてもらって治療しています。
私はそうすることで、母親に私たちがどれほど大変かをわかってもらうわけです。また、現在は、痛みがない場合は無理に押さえつけて行っておりません。
小児歯科での事故
歯科に関して
- 2018年1月29日