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HISA DENTALCLINIC
DIRECTOR’s BLOG

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上顎犬歯の埋伏の講演から(日矯大会)

歯科に関して

埋伏とは一定の萌出時期を過ぎても歯冠の全部あるいは一部が萌出せずに、口腔粘膜下または骨内にある状態で、歯の萌出異常のひとつであると定義されています。
今回、日本矯正学会学術大会で飯田先生および稲毛先生の講演を聞きました。
埋伏の頻度は歯種では智歯が圧倒的に多く、智歯を除いた場合上顎犬歯、上顎中切歯の順で多いという報告が多いようです。
上顎犬歯の埋伏の特徴は、歯冠を近心に向け、斜めに埋伏するケースが圧倒的に多いわけです。
その影響で側切歯、中切歯の歯根吸収を引き起こし、その吸収が大きいとその歯が使い物にならず抜歯に至ることが臨床上の問題です。
稲毛先生の講演はそれを予測し、犬歯の埋伏を防ぐ研究のようですが、なかなか難しいようです。
梨状口の側壁から下がってくる上顎犬歯の歯冠が舌側を向いたときに埋伏する傾向があるようです。
しかし、それぞれの患者様で萌出を定期的に診ていくことは困難です。
私自身、矯正学教室に所属していた時代に、上顎中切歯や犬歯について、埋伏の統計的検索を行ったことがあります。
その時、犬歯の埋伏で歯冠が遠心を向いて埋伏するケースに遭遇したことはありませんでした。
しかし、頻度は少ないものの、犬歯の歯冠が遠心を向いて埋伏している症例があることを初めて知りました。
また、犬歯が下がってくる段階で、第一乳臼歯や第一小臼歯の動態が犬歯の埋伏に影響を与える可能性が高いことも学びました。
現在、一例、来院した際にすでに犬歯の歯冠が近心方向に斜めに埋伏していて、その隣の側切歯の歯根がほとんど吸収してしまって、動揺している患者様を経過観察しています。
叢生を伴っているので、単にその側切歯を抜歯してそのスペースに犬歯を誘導して終了できる症例ではありません。
いづれにしても埋伏歯を牽引、誘導するのも大変ですが、歯列、咬合を考えなければならず、いつも難しい問題に遭遇しています。