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HISA DENTALCLINIC
DIRECTOR’s BLOG

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矯正治療時の歯肉の退縮

歯科臨床
初診時年齢26歳6か月の女性で、口元の突出を気にして来院しました。 O-01133-0001.jpg O-01133-0010.jpg 矯正治療に入る前に、歯周病がひどかったのでスケーリングやSRPをしてから、矯正治療に入りました。しかし、当然歯周ポケットの改善が不十分な所もありました。 初診時の写真から下顎左側中切歯の歯肉がすでに退縮していますが、歯根の位置が唇側にあるので歯根の位置が舌側に入れば、歯肉のレベルは多少改善されると考えていました。 O-01133-0101.jpg O-01133-0107.jpg 矯正装置が装着されました。しかし、叢生がある場所は歯肉に汚れが溜まりやすく、さらに、歯の移動で歯肉ポケットが開きやすくなるため、矯正を開始してわずか数ヶ月で歯周病の急性発作が起こりました。 その後炎症が消退すると、さらに歯肉の退縮が起こりました。その後はさらに歯の移動をゆっくり行いましたが、アクセプタブルオクルージョンまで2年2か月を要しました。 きれいに配列されてから、リンガルルートトルクを掛けたのですが、歯肉のレベルはあまり変化しませんでした。 O-01133-0201.jpg O-01133-0205.jpg このような場合に遊離歯肉弁の移植をする先生がいますが、歯槽骨がないので、数年後には前の状態に戻ってしまいます。 成人の矯正治療の患者様には、治療の前にかならず次のことをお話ししています。歯肉退縮、歯根の吸収およびブラックトライアングルを生じる可能性があることをお話ししています。 とは言っても、歯周病患者様の矯正治療の難しさを思い知らされた症例でした。