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HISA DENTALCLINIC
DIRECTOR’s BLOG

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出っ歯の意味が違っていた?

歯科に関して

以前、上顎左側中切歯の新しい差し歯を入れる患者様の補綴物についてお話ししました。
その患者様が今より前歯を中に入れて製作してほしい(出っ歯にしないで)という依頼で製作しましたが、うまく製作できず苦労したという話でした。
出っ歯とは、矯正が専門だった私からお話しすると、AngleⅡ級1類のように、オーバージェットが大きい症例、つまり、上の前歯が反っていて上下の前歯の歯の先の距離が大きい症例を思い浮かべます。
あるいはAngleⅡ級2類のようにオーバージェットは小さいのですが、上の前歯が内側に向いていてオーバーバイトが深く、ANBの大きな症例を思い出してしまいます。
この患者様の場合には前者を言っているのだと考えたわけです。
そこで、できるだけオーバージェットを小さくして製作しました。
しかし、気に入ってもらえず、再度2つ目を製作し、装着していたのですが、やっぱり出っ歯ということで、困ってしまいました。
そこで、再度患者様のお話を聞くと、オーバージェットが大きくても問題はなく、隣の歯冠の傾斜と同じ(同じ歯冠軸)にしてくれということだったのです。
右側中切歯より左側中切歯は唇側にあったため、歯冠軸を合わせることは難しかったのです。
そこで、右側中切歯のかぶせ物も装着して10年以上たち、歯根も見えているので、右側はすこし唇側に、左側はすこし舌側に歯冠軸を向け、唇側面のカンツアーを合わせるように製作しました。
3つ目の補綴物は大変気に入ってもらえました。
このように、術前に患者様の話をよく聞いたつもりでも、このようなことが起きてしまいます。毎日、臨床の難しさを感じています。