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HISA DENTALCLINIC
DIRECTOR’s BLOG

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新型コロナウイルス感染予防のためのマスク着用による口腔内のトラブル ―過去6年間の歯科健診結果を検討して―

歯科臨床

新型コロナウイルス感染予防のため、日常ではマスク着用しての生活が当たり前になっています。飛沫を防ぐ為に必要なマスクですが、喋り辛さや肌荒れなど様々なトラブルに悩んでいらっしゃる方も少なくないと思います。では、口の中にも影響が出るのでしょうか?

マスクをしていると暑さや息苦しさで、楽に感じる口呼吸になってしまいがちです。そのため、虫歯や歯周病リスクが高くなると言われています。唾液には、口腔内の細菌をやっつけたり、汚れを洗い流したりするなどの自浄作用があります。口呼吸をしていると、お口の中は乾燥し、唾液の自浄作用が働かず、虫歯や歯周病の原因菌が繁殖しやすくなり、虫歯や歯周病リスクが高まり、また口臭も高まることになります。

 そこで、実際にマスク着用の影響と虫歯の関係について、新型コロナウイルスが猛威を振るったこの3年間の歯科健診結果(2022年,2021年,2020年)とその前の3年間の歯科健診結果(2019年、2018年、2017年)を比較検討しました。検診者は鈴木先生と私で6年間変わっていません。むし歯を判断する指標として、う蝕経験を表す指標である一人平均DMA指数を用いました。この数値が小さいほど、虫歯罹患が少ないことを表します。

 その結果、この3年間とその前の3年間の検診結果から、マスク着用が義務付けられていたこの3年間の方が、虫歯が有意に増加しているという結果は得られませんでした。ただ、今年に関しては、過去6年間で男女とも一番高い一人平均DMA指数でした

 これらの結果は、マスク着用は学校にいる時(7時間から8時間)だけで、家では外していることが多いことに起因していると思われました。ただ、過去6年間で男女とも今年が一番高い一人平均DMA指数だったのは、一日中マスク着用をしていないとはいえ、3年間もマスク着用をしていると少しその影響があるのかなと思われました。

 対策としては、2時間目の休み時間に私の診療室でも実施している、ポピドンヨード(イソジン®)による洗口(ガラガラうがい)を実施することが望ましいと思われました。