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HISA DENTALCLINIC
DIRECTOR’s BLOG

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認知症と歯科 その3.保険証や診察券の返却

歯科に関して

就業時代に社会的立場の高かった認知症の患者様は、従来の自尊心の高さから、物忘れや混乱に対して否定する感情や、自信をなくして不安な弱みをみせまいと余計に頑固になるケースもみられます。
またそうしたケースでは、判断能力の低下によって、感情を自分でコントロールできないこともBPSD(認知症に伴う行動・心理症状)の原因になります。
たとえば、すでにその患者様に保険証と診察券を返してあるのに、患者様はトイレに行き、戻ってきてまだ保険証と診察券を返してもらっていないと言い張ります。
受付の女子が先ほどバックの中に入れたじゃないですかと言っても、返してもらってないの言ってん張りです。
こういう場面では、まず早急に事実情報(患者様が先ほど保険証と診察券を受け取ってバッグに入れたこと)を共有することが重要です。一連の言動は記憶障害や見当識障害によるBPSDの可能性が高いと思われます。
患者様がすでに不愉快な心境になってしまっては、事実を説得してもなかなか受け入れることは困難ですし、かえって興奮を増大させてしまう可能性があります。
従って、認知症の患者様が間違ったことを言っても否定せずに、まずはそうですねと受け入れ、話をよく聞き、いったん椅子に座って待っていただきます。
そして、大切なものを見つけられずに申し訳ありません。しっかり探すのでお時間を下さいと患者様に非がないことを明確に伝えます。
興奮が少し収まった頃合で、お時間がかかってしまうので、こちらから見つかり次第お電話いたします。
ご家族に連絡したいのですがよろしいでしょうかと家族にもこの事実を伝えることで、周囲も含め、疑念、不安を少しでも抑えることが重要です。
繰り返される場合は家族やホームヘルパーなど一緒にいて安心できる人物との受診が必要かもしれません。