毎回何本も歯ブラシを買っていく患者様は、歯科医院にとってお得意様かもしれません。
一般的に、認知症の方の買物トラブルの代表的なものとして、悪質な押し売り被害にあるケースがよくしられていますが、売る側に悪意があろうがなかろうが、発生してしまうのが買物トラブルです。
買物トラブルは、多く指摘されているのが高齢者の寂しい心理です。患者側としては優しく説明してくれた歯科衛生士さんに、また私とお話ししてねという心理があり、勧められた歯ブラシ等を購入してしまうといわれています。
往々にして、認知症の進行過程に出現する近時記憶障害により、前回までの歯ブラシの購入を忘れているケースで起こりやすいといわれています。
歯科医院では、基本的に口腔内の状況やセルフケアの技量に合わせて必要な口腔清掃器具を処方し、使用法を丁寧に説明するのが業務です。この業務自体は、口腔清掃の悪い高齢者の場合、一層ていねいに行うべきです。
しかし、前回歯ブラシを購入したことを忘れ、毎回購入する患者様がいたとすれば、認知症の可能性を疑う必要性があります。
その際、患者様に対して前回3本買っていかれましたなどと追及せずに、あえて患者様が気分よく帰えられるようにした上で、事実確認が必要です。
また、電話を受ける家族にとっては、高齢者の家族が認知症と疑われることは望まないケースが多いため、誰も傷つかずに、徐々に家族に情報提供する工夫や配慮も必要です。
たとえば、ご家族に電話する際、最近、お母さんたくさん歯ブラシ買って行かれたんですが、ご家族の分ですよねなどと情報提供する工夫が必要かもしれません。
認知症と歯科 その2.歯ブラシの購入
歯科に関して
- 2016年3月2日