今回は象牙質の痛みについてお話しします。
歯の硬組織において痛みを感じるところは、最表層にあるエナメル質の内側にある象牙質です。
象牙質は硬組織にもかかわらず、象牙細管という中空構造があり、そこから歯髄の神経が刺激され痛みが生じます。
象牙質の痛みは、外からの刺激によって生じる2~3秒以内の鋭い深い痛みです。
外からの刺激とは、食事や飲料などによる熱刺激や、甘い、酸っぱいといった化学的刺激、あるいは物理的な圧迫による機械的刺激があります。
熱いおでんを食べた後に冷たいビールを飲むといった急激な温度変化では、正常な歯ですら痛みを生じることがあります。
しかしほとんどの場合は、歯髄中の神経が知覚過敏を起こしている状態の歯に、日常ではごく当たり前の刺激が加わることで痛みが発生することが問題となります。
この痛みは、はっきりと場所を示すのが難しく、問題のある歯の前後2~3本の範囲に感じます。痛む場所に関して、上下の歯を間違えることも珍しくありません。
象牙質の痛みは、知覚が過敏と思われる歯の周辺2~3本の歯に対して、1本ずつ冷刺激や熱刺激を加えていくことで再現され、問題のある歯が確定されます。
最も頻繁に認められる原因は象牙質のう蝕ですが、これは見て確認し、さらに器具で触って痛みが誘発され、エックス線診査も含めて診断します。
痛みは,むし歯に対する詰め物の不適合や、歯が削れたり,エナメル質が溶けたり、また歯肉が下がって象牙質が口腔内への出てくることも原因となります。
これらの場合、鋭い探針で疑わしい部位を触ることによって痛みの場所を明確にすることができます。
象牙質のむし歯によって痛みが出ている場合には、むし歯を除去し代わりのものを詰めることで治療します。
歯と歯肉の境界にある歯根の象牙質が、歯肉が下がることによって露出し、生じる知覚過敏は、対処法が多種多様です。
まずは歯根面を清掃し汚れを付着させないこと、また酸性の食事や飲み物は控えるべきです。
さらに露出歯根面からの刺激の入力を防止するために歯根面を被覆することで対応します。
歯の痛み(1)象牙質の痛み
歯科に関して
- 2018年7月22日