移転とは不正咬合の個々の歯の位置異常の一つで、歯列弓内で隣接している歯がその位置の順序を交換しているものをいいます。
最もよくみられるのは、上顎の犬歯と第一小臼歯の移転です。
10歳の男子で、上顎右側の歯が重なって生えているということで来院しました。
上顎右側犬歯と第一小臼歯が重なって生えていますが、どちらかと言うと犬歯が第一小臼歯より後方にあり、移転の状態にあります。
移転歯の矯正治療で重要なことは、移転は歯冠だけが逆なのか、歯冠および歯根も逆なのかということです。
私自身は、以前は歯根まで逆の場合は無理に位置を変えずに配列していました。
今回の症例は歯根まで位置が変わっている症例です。
しかし、第一小臼歯を一度口蓋(舌側)に押しやり、犬歯を近心移動し、それから第一小臼歯を唇側の正しい位置に戻すようにする治療計画を立てました。
まだ、治療は終了していませんが、歯の位置を変えることは出来ました。後は犬歯のリンガルルートを行い、根尖部を舌側に移動すれば終了のところまで来ましたので報告いたします。
移転歯の矯正治療
歯科臨床
- 2016年5月27日